JOURNAL

入社3年目・浅野「読書から学んだ出版業界の流通事情」

【浅野 真由】
2019年4月に新卒で入社。
6ヶ月間の研修を経て、株式会社イーソーコドットコムに配属。

こんにちは!浅野です。

社会人になってから、本をあまり読めていないのが悩みだったのですが、最近やっと小説を読み始めました。

今回は、今読んでいる小説が面白かったので、その本をご紹介しようと思います。

 

その本は早見和真さん著作の「店長がバカすぎて」(角川春樹事務所出版)です。

こちらは、「武蔵野書店」という書店を舞台にした、主人公の谷原京子という文芸担当の契約社員の視点で描かれるコメディ作品です。

店長である山本猛という名前ばかり勇ましい「非」敏腕店長の元で、次々とくるトラブルに対応しながら、日々忙しく働く谷原の心情や日常風景を描いています。

 

この小説は単純なエンタメ作品としても、とても笑えて面白いのですが、私が今回このJOURNALでご紹介しようと思ったのは、リアルな書店事情が描かれているからです。

 

実は、出版業界の物流事情や書籍が本屋に入るまでの流れには、通常の物販とは異なる特殊な事情があります。

 

まず、本の物流で関わる会社と言うと、本を作る「出版社」と本を売る「書店」や「通販サイト」などをイメージされると思います。

しかし、実際にはその間に「取次」や「問屋」と言われる「取次業者」が間に入っています。

「出版社」は作った本を「取次業者」と取引をし、「取次業者」が「書店」と摺り合わせをしながら本を出荷していきます。

 

これだけだと、ただ単に間に取次業者が入っているだけに見えますが、出版業界の流通が特殊なのは「委託制度」と呼ばれる制度にあります。

 

この制度は、定められた一定の期間内であれば、仕入れた書籍を出版社へ返品できるのです。

なので、書店は大量に入荷した本が売れ残ってしまったとしても、一定期間であれば返品を行い、在庫リスクを減らすことが出来るのです。

 

書店にとっては最大のリスクの軽減ができ、良いようにも思えますが、それだけではありません。

 

この制度は出版社から見ると、書店に色んな本を置いてもらえるというメリットもありますが、沢山の書店に置いてもらえる分多めに生産・供給する必要もありますし、売れたと思ってきた書籍が大量に戻ってくる危険性もあります。

なので「取次業者」は大量の返品を避けるため、書店の売れ行き・売上金額等によって本の流通を調整しています。

つまり、書店がどんなに多く希望を出しても、取次業者が「この書店では売れない」と判断したら、希望通りには本が入ってこないということです。

小説内では、谷原自身が面白いと感じた本は数冊しか入荷できないのに対し、面白くなかったけど有名な小説家さんの新刊はたくさん入ってきて、自分の理想通りに本を配置できないという状況に苦悩する谷原の思いが綴られています。

 

私はまだ読んでいる途中なのですが、社会人になったからこそ分かるようなシーンもあり、とても共感もしつつも、店長と店員のすれ違い具合に笑って楽しんでいます。

また、小説の中でもリアルな背景を描いている作品からは、今回の出版業界の事情のように新しい発見もあり、読書は無駄にならないと再確認しました。

今後も読書習慣を身につけ、リフレッシュも兼ねて楽しもうと思います。

参考:日本出版販売株式会社様HP

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