浅野です。
今回は私流働く心理学の第3弾です。
前回の記事でアイディア出しやブレインストーミングをする会議について書きましたが、今回はディベートなどの討論をする、何かを決める会議での心理学についてまとめていきます。
前回の記事はこちらからどうぞ↓
入社2年目・浅野「”私流”働く心理学vol2『会議をより良くするには空気が大事』」
まずは、ディベートについてです。
ディベートとは、広義的には『ある特定のテーマの是非について、2グループの話し手が、賛成・反対の立場に別れて、第三者を説得する形で議論を行うこと』です。
例えば、「倉庫はランプウェイ式の方が効率が良い」という議論があるとすると、「効率が良い」と考える賛成派と、「効率が悪い」と考える反対派で分かれて行う議論、のようなものです。
ディベート自体は中高生向けのディベート甲子園があるほどゲーム性も高く、また論理的思考能力、問題解決能力、プレゼンテーション能力の向上につながる為、教育機関が取り入れているケースも数多くあります。
教育機関で取り入れられていると書くと、企業では縁の無いようにも見えますが、案外そうではありません。
ディベートのように故意的に賛成と反対に分かれて議論を行うことはありませんが、会社として何かを決める時、何かを提案して求めて頂く時、ディベートに似たような会議が発生します。
そのような会議の時、自分に有利に働くように、心理学的な戦略があります。
まず一つ目は、会議室の席です。
なるべく長方形のテーブルの部屋を選び、短い辺に面した席、いわゆる誕生日席に座りましょう。
長方形のテーブルは座る席で力関係が決まります。
誕生日席は自然と注目が集まりやすく、全体を見渡せる席です。
参加者が意図せず注目して聞いてくれる席なので、会議を回していく、流れを自身で作りたい人には最適な席です。
また、事前の仕込みも重要です。
今までに、しっかりと自分の意見を持っていたはずなのに、複数名の意見によって流されてしまった経験はありませんか?
心理学者のアッシュは、線分の長さを判断する簡単な実験を行っています。
被験者は自分以外の複数人(2人以上)のサクラが違う意見を言った場合、自分の意見に対して持っていたはずの確信が揺らいで、間違った意思決定をしてしまうことが結果として紹介されています。
アッシュの実験は線分の長さを判別する簡単なものでしたが、サクラが2人以上になると誤答率は15%程度、3人以上になると30%にもなっています。
この結果から分かるように、自分の意見をどうしても通したい会議では、参加者の中にあらかじめ自分の意見に賛成してくれる人に同席をお願いするか、参加者に同調していただけるように打診しておくと、有利な展開へ進めやすくなる可能性が高くなります。
更には、事前に自身の意見に賛同してくれる方に同席していただくことで、自分とは反対の意見が出たとしても、同調圧力が生じるのを防ぐことが可能で、より有利に打ち合わせを進めることが出来ます。
ただ、毎回賛成者が複数名いるとは限りません。
その場合、同調圧力を利用して、自身の意見を通すことは難しくなります。
その際には「モスコビッチの方略」を活用しましょう。
「モスコビッチの方略」とは、少数派だとしても自分の意見を一貫性を持って主張し続けると、反対の多かった集団の意見が少数派の意見に傾いていくというものです。
意見を聞いて賛成してくれる人が増えるほど、同調圧力が高まっていくので、状況をひっくり返せる可能性が生まれます。
もし会議前に自分の意見が少数派だと分かる場合は、多数派が自分の意見に傾くまで主張出来るように、会議で話す主張を固めておきましょう。
理想論や抽象論になると可能性が低くなるので、論理的、客観的なデータや資料をしっかりと準備する必要があります。
あとはとにかく自分の意見の正しさと「モスコビッチの方略」の効力を信じて、主張し続けると、自身の望む結果を勝ち取れるかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
何か意見を通したいとき、熱意だけで押し通すのは難しいと思います。
席や同調圧力、モスコビッチの方略など、心理学的戦略を用いることで、少しでも有利に事を進めることが出来るので、ぜひ活用してみてください。
また、会議を制することは、重要な役職やプロジェクトに関わるチャンスが増えるきっかけになります。
私自身会議が得意かと言われると、まだまだそうとは言い切れませんので、今回まとめたものを実践的に使ってみようと思います。
次の記事はこちら↓
入社3年目・浅野「”私流”働く心理学vol4『表情・リアクションの重要性』」